研究課題/領域番号 |
14580152
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
加藤 保子 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (10082356)
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研究分担者 |
矢野 博巳 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (20248272)
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キーワード | 食物依存性運動誘発アナフィラキシー / 卵白リゾチーム / B10Aマウス / 急性運動 感作マウス / 小腸粘膜組織 / 肝臓の蛍光発色 / 特異IgE |
研究概要 |
食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)は、ある特定の食物摂取後に運動が負荷された場合に限り発症するという特異な疾患であり、基本的にI型アレルギーに基づくと考えられているが、その発症要因はほとんど明らかにされていない。今年度は、B10Aマウスに卵白リゾチーム(Ly)を腹腔免疫し、感作マウスの作成を試みた。1週間おきにAl(OH)3と共にLyを腹腔免疫するとtotal IgE、Ly特異IgE及びIgGは有意に上昇したことから、感作マウスが作成されたことを確認した。絶食下感作マウスにLy抗原を経口投与した直後、急性運動を疲労困憊まで負荷した。非感作マウスの平均運動時間が195分であったのに対して感作マウスの運動時間は135分と有意に運動パフォーマンスが低下した。運動負荷後麻酔下で開腹、門脈からPBSを注入して肝臓を脱血後、O.C.T.compoundで固定、凍結切片を作成した。抗Ly特異IgGおよびFIT標識二次抗体で免疫染色した肝臓組織を観察した。アレルゲン経口投与後運動を負荷したマウスのすべての肝臓で蛍光発色が観察された。一方、経口投与のみで運動を負荷しなかったマウスではその25%に発色が認められた。ホルマリン固定した小腸組織を実体顕微鏡で観察すると、運動を負荷しない非感作マウスでは小腸粘膜の損傷は全く認められなかった。しかし、運動負荷のみあるいは感作のみでも小腸粘膜の損傷が観察された。更に、感作マウスに運動を負荷するとすべてのマウスの小腸粘膜組織に損傷が認められ、また、抗原構造を保持したLyが小腸内容物から検出された。抗原構造を保持したアレルゲンタンパク質が小腸内に残存し、粘膜組織の障害箇所からより多くのアレルゲンが運動負荷によって体内に侵入していることを確認した。このB10A-Ly系はFDEIA動物実験系として、最適のモデルであることも判明した。
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