海藻多糖類は大量の水を保持し、食物繊維の有するイオン交換性により重金属イオン等による体内汚染を防ぐ効果が注目されている。一方、アルミニウムイオンはアルツハイマー病や透析痴呆との関連性が疑われていることから、アルミニウムと海藻多糖類とがイオン交換することによってこれらの毒性を防ぐことができるのではないかと考えられる。本研究では、カラギーナンとアルミニウムイオンとの結合能およびその特性変化をin vitroで明らかにすることを目的として検討し、次の結果を得た。 市販品のκ-カラギーナンから転換したカルシウム型カラギーナンを用いて、硝酸アルミニウムおよび乳酸アルミニウム溶液中における反応温度・温度・濃度・pHの違いによるアルミニウムイオン交換能をキレート滴定法で測定した。 反応時間の早い時期から硝酸アルミニウム、乳酸アルミニウムともに約90〜70%の結合率を示した。温度の影響は、両溶液ともに温度が高くなるにしたがって結合率が上昇し、50℃で100〜90%の交換率であった。濃度の影響は、高濃度になるにしたがって交換率が増加し、0.1Mでほぼ平衡に達した。pHの影響は、硝酸アルミニウムの場合、pH3で100%の交換率を示し、pH4では減少し約半分の交換率になった。乳酸アルミニウムの場合、pH3〜5で約70%の交換率を示し、これ以上のpHでは穏やかに交換率は低下した。
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