研究課題/領域番号 |
14580155
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研究機関 | 中村学園大学 |
研究代表者 |
藤田 守 中村学園大学, 栄養科学部, 教授 (60037471)
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研究分担者 |
林 辰美 中村学園大学, 栄養科学部, 助教授 (40149646)
松隈 美紀 中村学園大学, 短期大学部・食物栄養科, 助手 (40259669)
馬場 良子 中村学園大学, 栄養科学部, 助手 (90271436)
藤本 淳 中村学園大学, 大学院・栄養科学研究科, 教授 (80080547)
山元 寅男 中村学園大学, 大学院・栄養科学研究科, 教授 (80037324)
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キーワード | 乳飲期 / 離乳期 / 小腸 / 空腸 / 回腸 / 吸収上皮細胞 |
研究概要 |
今年度は、正常な離乳プロセスを把握することを目的として実験を行った。離乳後を境に、小腸における消化吸収形態が大きく変化することから、小腸を上部(空腸)と下部(回腸)に分け、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡を用いて、立体構築学的および超微形態学的に検索を行った。さらに高分子物質の取り込みを知る目的で、トレーサーを用いて細胞化学的検索を行った。その結果、乳飲期の小腸において、指状の細長い絨毛が密に観察されたが、離乳が近づくにつれて徐々に形態の変化が見られ、離乳後には低く、幅の広い絨毛に変化した。また、空腸において回腸より発達した絨毛が見られた。また、典型的な乳飲期の空腸吸収上皮細胞は、母乳中の抗体や高分子物質を細胞頂部より高分子のまま取りこみ、細胞内を通過(トランスサイトーシス)させる経路が存在した。一方、回腸では、吸収上皮細胞の核上部に巨大ライソゾームが存在し、管腔内の高分子物質を細胞頂部から取り込み、巨大ライソゾームに輸送し、貯蔵と細胞内消化を行っていることが分かった。しかし、空腸および回腸のそれらの高分子物質の吸収機構は、離乳が近づくにつれ、徐々に減少し、離乳前に完全に見られなくなった。吸収機構の変化については、空腸における変化が回腸よりも早く起こり、トランスサイトーシスの減少に続き、空腸における取り込みの減少、消失の順であった。回腸においては、吸収上皮細胞頂部のエンドサイトーシスに関与する膜系の減少と巨大ライソゾームの巨大化が見られ、それらの膜系における取り込みの減少、ついで、それらの構造を持った吸収上皮細胞の消失の順であった。離乳が近づくにつれ、吸収上皮細胞の吸収機構の変化も見られるが、絨毛表面を覆う乳飲期の吸収上皮細胞自体も減少し、それと同時に絨毛の形態も低く幅広く変化すると思われ、それらの細胞の絨毛先端部からの脱落は、陰窩で新生された成熟期と類似した吸収上皮細胞によって補われ、最終的にそれらの細胞で全て置き換えられると考えられた。
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