研究概要 |
本年度は、ダチョウ卵に重点に研究した。ダチョウ卵の卵構成は、一般的な鶏卵の20個以上の重量で、卵殻重量が重く、厚いことが特徴である。食卵としては、卵黄比率が小さく、鶏卵の30倍以上の重さを持ち、卵黄の比率は24.0%でかなり低い。鶏卵の品質および鮮度判定となる濃厚卵白率では、60.8%で新鮮鶏卵と大差なかったが、標準偏差が20.6%で個体による違いが大きかった。同じく卵黄係数では、0.17と鶏卵の0.39に比較して小さく、しかも破損せずに卵黄を取り出すことが困難であることから、両者の係数を鶏卵と同様に用いることは出来ないと判断された。卵白及び卵黄の一般分析値およびpHを見ると、鶏卵と大差がなかったので、鶏卵と同様の調理が出来ると考えられた。食味としてはアヒル,ホロホロ鳥の卵白より卵白の水分が多く,しかも脂肪がほとんどないことから,食べやすく,さっぱりしていることが考えられる。これらのタンパク質の電気泳動パターン結果は鶏卵とかなり異なるパターンを示した。また、アミノ酸組成では,鶏卵に比べて,加熱後における硫黄臭が強く,硫化水素による黒変が多く発生する可能性が考えられるので,美味しく食するためには調理上の工夫が必要であった.ダチョウ卵の卵殻・卵白。卵黄を加熱して光学顕微鏡および低真空SEMなどを用いて観察した。また、調理特性〔熱凝固性、起泡性〕については、鶏卵に比較して凝固温度が高く、起泡性は劣る性質を持っていた。スポンジケーキを調製した結果、膨化率は幾分低く、加熱時間は長く、製品は鶏卵より幾分おちるが、バターを多量に加えたスポンジケーキは好まれ、良好な成績が得られた。ダチョウ肉については、生後10ケ月前後のもも肉を解体し、骨格筋の筋線維型を組織型に観察し、解明しているところである。
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