研究概要 |
ダチョウの後肢を解剖し、骨格筋の同定を行った。ダチョウ筋材料より筋横断試料を切り出し、クリオスタット切片にして酵素組織化学的方法を用い、筋線維型の分類を行った。ダチョウの筋線維はニワトリと違い、IIA型筋線維が弱〜中等度のミオシンATPase反応性を示した。ダチョウの頭側腸骨脛骨筋と腸骨○骨筋は、市販されている肉の用語で、「ファンフィレ」「ローインステーキ」と食肉名を当てはめて販売されている。これらの肉を茄であるいは揚げて、加熱後重量変化率、pH,色、テクスチャーを測定した。ダチョウ肉の加熱による重量変化は全体に熱変性した茄で90秒、揚げ60秒加熱では、加熱前重量の約80%で、それ以上の加熱では急激に収縮して、重量減少が大きかった。肉の破断特性でも、適正加熱時間を過ぎると急激に硬くなった。ダチョウ肉の部位の違いは少なかった。また、加熱後重量は市販国産豚モモ肉と大差なかった。ダチョウ肉の色は、豚モモ肉より明度が低く、赤み(a値)が強いが、調理したものの色は明度が低いが、a, b値はほとんど違わなかった。90秒茄でおよび60秒揚げ加熱のダチョウ肉は官能検査で好まれ、特に揚げたものはやわらかさ、味で好い成績が得られた。ダチョウの卵で調製したプリンは、ニワトリ卵より、加熱時間を多く必要としたが、その破断応力は、有意に低く、軟らかかった。ダチョウ卵のプリンの色はL、b値は低く、白く仕上がった。同条件で調整したニワトリ卵のプリンと比較した二点嗜好型官能検査では、ダチョウ卵のプリンが甘み、やわらかさとなめらかさで有意に好まれた。従って、ダチョウ肉および卵は加熱時間など工夫が必要であるが、ニワトリ卵と同様の配合で調理することが可能で、新食料資源として大いに期待できる。
|