研究概要 |
未利用食品タンパク質資源の一つである魚肉水溶性タンパク質の高度利用を図るため、甘鯛から得られた希薄な本タンパク質溶液を中性親水性ポリマー(Ficolle 400、ファルマシア製)を用いて未変性のまま濃縮し、濃縮魚肉水溶性タンパク質を得た。これを用いて以下の3点について検討した。 1、濃縮魚肉水溶性タンパク質の加熱誘導ゲル形成性のレオロジー解析。 2、濃縮魚肉水溶性タンパク質の動的粘弾性特性に及ぼす脂肪酸塩添加の影響を調べる。 3、卵白アルブミン添加による濃縮魚肉水溶性タンパク質-脂肪酸塩混合系のレオロジー変化の解析。 その結果、下記の事項が明らかとなった。即ち、濃縮魚肉水溶性タンパク質単独ではタンパク質濃度10%,中性pHで加熱処理を施す事により白濁ゲルを形成した。また、ゲル形成に対するカプリン酸ナトリウム添加の効果を調べたところ、加熱を伴う場合には保水性の高いゲルを形成するが、常温でのインキュベーション下では粘度上昇にとどまり、自重で流れないゲル状凝集体の形成にまでは至らなかった。しかしながら、この系に卵白アルブミンを補足すると顕著にゲル化が促進される事が微少変形下でのレオロジー解析により明らかになった。 次年度は、この時に生じるタンパク質高次構造変化を中心に研究を展開する予定である。
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