研究概要 |
ゴマを妙る時は「3粒はぜたら、火を止める」といわれている。あらい黒、白ゴマ、皮むき白ゴマ3種について電気オーブンにより160,170,180,190℃にて加熱したゴマ材料を用いてゴマ豆腐を調製した。調製方法は、ゴマ40gに水250g加えて3分間ミキサーにて撹拌し、さらに200g加え50メッシュのフルイを通してゴマ乳435gを得た。ゴマ乳に本葛澱粉40gを加え、撹拌機を用いて250rpm25分間撹絆し、テフロン製円筒型(20×20mm)に流し入れ、凝固させた試料を15時間後、試料温度20℃でレオナー(RE-3305,山電)を用いて破断測定を行ない寒天ゲルの破断特性も検討した。さらに、官能検査を行い、破断特性値と評点との相関性を求めた。その結果、あらい黒ゴマ豆腐は未加熱ゴマ、焙煎ゴマ共に、破断応力、破断歪率、破断エネルギーが最も高いことより最も硬く、破断しにくいゲルであることがわかった。ゴマ豆腐の破断曲線は典型的な延性破断を示し、皮むき白ゴマ豆腐は、破断応力、破断歪率、破断エネルギーが最も低かった。焙煎温度の影響では、170℃焙煎ゴマのゴマ乳中の平均粒子径(あらいゴマ21.5μm、むきゴマ40.4μm)は、190℃ゴマ乳中の粒子径(あらいゴマ86.4μm、むきゴマ110.3μm)よりも小さかった。170℃焙煎ゴマ豆腐は、硬さ応力、破断応力、破断歪率破断エネルギーが最も低く、190℃焙煎ゴマ豆腐の硬さ応力、破断応力、破断歪率、破断エネルギーは最も高かった(p<0.01)。破断応力の大きい190℃ゴマ豆腐は硬く、わずかに苦みやざらつき感があり、口ざわりが悪いために官能検査では総合的に好まれないが、170℃焙煎ゴマ豆腐は、破断応力、硬さ応力の小さい、すなわち、なめらかで軟らかく、弾力のあるゴマ豆腐特有のテクスチャーを形成し、皮むきゴマ豆腐(p<0.01)、あらいゴマ豆腐(p<0.05)は、170℃焙煎ゴマで調製された時に最も高く評価された。
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