研究概要 |
血栓性疾患においては,動脈硬化による血管の柔軟性の欠如を基礎疾患とし,これに血小板凝集能の冗進,赤血球変形能の低下,白血球接着現象の増加などによる血液流動性の低下が考えられる。血流の改善には赤ワイン中のポリフェノールやイワシなどの青黒脂質中のイコサペンクエン酸(EPA)が効果を示すことが広く知られている。しかし,血液に関するこれらの実験は血小板凝集測定などの手法によるものが多く,血液の流れそのものを研究したものはほとんど見当たらない。申請者は食品の活性酸素消去活性や血流改善効果,血小板凝集抑制などについて研究し,総合的に「血液サラサラ」効果のある食品の検索を行っている。この研究で得られる情報は,広く生活習慣病の予防に役立つものと考えられる。 申請者らは野菜の活性酸素消去能,抗酸化活性,血小板凝集阻害活性,血液流動性改善効果に関して,細胞マイクロレオロジー測定装置,ヘマトレーサーなどを用い血流や血小板凝集阻害作用について検討した。また,今年度申請したレーザー組織血液酸素モニターを設置後は血流量の変化を細胞マイクロレオロジー測定装置,ヘマトレーサーとあわせ検討し,血管拡張による血流改善効果と,血液の性状改善に関わる血流向上を検討した。 その結果,血流や血小板凝集阻害に顕著な改善効果を示したレモンなどの刺激の少ない食品はレーザー組織血液酸素モニターでは血流に顕著な結果を示さなかったが,キムチなど香辛料を用いた食品は顕著な血液流量の増加や血管拡張が確認できた。
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