研究概要 |
【目的】本研究ではブラックタイガー(Penaeus monodon,和名:ウシエビ)における抗菌剤のオキシテトラサイクリン(OTC)及びオキソリン酸(OA)の残留特性を明らかにし、さらに、これらの残留抗菌剤が加熱調理によって、どのような影響を受けるのかを調べることを目的とする。本年度はブラックタイガー組織におけるこれら抗菌剤の分析法の検討を行った。さらに、タイ国にて馴致飼育されたブラックタイガーにOTCのサイナス内投与及び経口投与実験を行った。 【方法】供試エビにはタイ国サムットサーコーン水産研究所で飼育されたブラックタイガー(体重20-30g)を用いた。 分析法の検討:各組織試料として血リンパ1ml、筋肉2.5g及び殻1.0gを実験に用いた。血リンパについては両抗菌剤ともハイセップカラム(スペルコ社製、USA)を用い、蛍光法による直接注入法によって行った。筋肉及び殻については、OTCでSep-Pak C18、OAでBond Elut C18による固相抽出法によって分析を行った。 投与実験:投薬方法は、OTCの投与量が50mg/kgとなるようにカテーテルを用いた強制経口投与法で行った。投薬後、所定時間ごとに5尾ずつ取り上げ、血リンパ、筋肉及び殻を採取した。 【結果】本分析法による各組織における添加回収率は次のとおりであった。OTC:血リンパで98.9%、筋肉で82.5%、殻で82.3%、OA:血リンパで97.9%、筋肉で82.2%、殻で81.4%であった。したがって、本分析法はブラックタイガー組織の残留OTC及びOAの分析に適用可能と考えられた。現在、本法によるOTCを経口投与したブラックタイガー組織について分析実験を行っている。
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