研究概要 |
【目的】本研究ではブラックタイガー(Penaeus monodon,和名:ウシエビ)における抗菌剤のオキシテトラサイクリン(OTC)及びオキソリン酸(OA)の残留特性を明らかにし、さらに、これらの残留抗菌剤が加熱調理によって、どのような影響を受けるのかを調べることを目的とする。本年度はタイ国にて馴致飼育されたブラックタイガーにOTCのサイナス内投与及び経口投与実験を行った。 【方法】供試エビにはタイ国サムットサーコーン水産研究所で飼育されたブラックタイガー(平均体重23g)を用いた。サイナス内投与:OTCを滅菌PBSに1%となるように溶解し、27G注射針を装着したマイクロシリンジによりエビ腹部サイナス内に投与した。経口投与:OTCの投与量が50mg/kgとなるように餌料に混ぜ、ディスパーサーでペースト状にした後、カテーテルを用いて強制投与した。いずれも投薬後、所定時間ごとに5尾ずつ取り上げ、血リンパ,筋肉及び殻を採取し、昨年度確立したHPLC分析に供した。得られたデータをWinNonlin ver.1.1(Scientific Consulting, Inc.,USA)によりファーマコキネティック解析した。 【結果】サイナス内投与におけるOTCの体内動態はtwo-compartment open modelに従って解析され、得られたモデル式は、Ct=35.4exp(-3.5303t)+10.6exp(-0.0429t)であった。その分布容及びクリアランスはそれぞれ869mL/kg及び38.7mL/kg/hであり、分布・排泄は非常に速かった。一方、経口投与におけるOTCの体内動態はモデル解析が不能であったため、Noncompartment法により解析した。その吸収・分布・排泄も速く、最高濃度、最高濃度到達時間及び消失半減期は21.1μg/mL、4h及び16.4hであった。バイオアベイラビリティは35.6%と算出され、硬骨魚のものよりもかなり高かった。
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