研究課題/領域番号 |
14580168
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研究機関 | 関西福祉科学大学 |
研究代表者 |
河合 弘康 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 教授 (80026525)
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研究分担者 |
土田 幸恵 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 助手 (80353001)
磯部 由香 三重大学, 教育学部, 助教授 (80218544)
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キーワード | パン酵母 / 冷凍耐性酵母 / トレハロース / 冷凍耐性機構 |
研究概要 |
パン酵母の細胞内炭水化物であるトレハロースが、酵母の冷凍耐性因子の一つとして重要な役割を持つことが明らかにされているが、とくにその細胞内濃度と冷凍耐性との相関性が注目されている。われわれは、冷凍生地製パンに適した冷凍耐性酵母の開発と冷凍耐性機構の解明を目指して研究を行っており、本研究はその一環として、実用的な冷凍耐性酵母の簡便な取得方法を開発することを目的とするものである。平成14年度に引き続き、平成15年度においても研究を継続し、その結果を要約すると以下の通りである。 1.パン酵母の細胞内トレハロース含量を調節することにより、普通パン酵母の冷凍耐性を高め、冷凍生地法に適した酵母を取得できるか否かを、平成14年度に引き続き検討した。 2.酵母の細胞内トレハロース含量を高める方法として、0.5〜1Mのトレハロース水溶液に供試酵母を一定条件下で浸漬して細胞内にトレハロースを取り込ませ、その結果得られた酵母の冷凍耐性がどのように変化するかを調べた。 3.市販圧搾パン酵母を供試酵母とした場合、その細胞内トレハロース量は浸漬時間の経過とともに著しく増加し、浸漬溶液のトレハロース濃度が高くなるほど細胞内濃度も増大した。また、浸漬温度が高いほどトレハロースの取り込み速度も増大した。 4.トレハロースを負荷した供試酵母の冷凍耐性は、対照の非負荷酵母に比べて増加し、細胞内トレハロース濃度の増加とともに増大した。1Mトレハロース溶液に4〜15℃で酵母を浸漬した場合、3日後冷凍耐性が最大となった。また、30℃では12時間の浸漬で冷凍耐性は最大となった。 5.トレハロース含量の増加にともなってパン生地の発酵力が増加するパン酵母も数株あったが、冷凍耐性はトレハロース溶液中での浸漬条件に関係なく、冷凍耐性株の方が冷凍感受性株よりも高い傾向が見られた。 6.数種のパン酵母から純粋分離した保存菌株を同一の培養条件で培養し、得られた菌体についてトレハロース負荷実験を行った結果、細胞内トレハロース量は増加したが、それらの冷凍耐性は必ずしも改善されなかった。 7.トレハロース負荷酵母の凍結貯蔵後の生存率は、細胞内トレハロース含量の多い菌体ほど高く、トレハロース含量と生存率との間に正の相関が観察された。
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