遊離アミノ酸量は170℃では15分以上、200℃および230℃では5分以上の加熱により半減以上変化した。還元糖は同様の減少を示し、メイラード反応の進行が確認された。他の水溶性糖質も高温長時間の加熱になるほど減少する傾向がみられ、カラメル化合物の生成が推測された。タンパク質量は変化しなかったが、総アミノ酸の変化により変性は認められた。これらの成分のゴマペーストとゴマだれの物性に及ぼす影響を検討した。 ゴマ種子を170℃、200℃および230℃で各10分間加熱したゴマを電動磨砕機により40回/分で20分間磨砕したゴマペーストを調製し、ずり履歴流動を測定した。200℃加熱のゴマペーストは粘度が高く、またチキソトロピー性が最も大きかった。一方未加熱のゴマペースト試料は、非常に塑性が大きく、加熱試料とは異なる挙動を示した。未加熱では組織が硬く、磨砕されにくいことが考えられ、成分の影響より粒度の影響が大きく、比較が困難であると考えられた。 そこでモデル実験を行った。未加熱の脱脂ゴマから10%NaClにより13Sグロブリン等を抽出し、その残滓とも53μm未満の粒度画分を試料とした。また加熱により高くなった。糖質は粘度を高め、タンパク質は粘度を低下させていると考えられたが、加熱により成分間の相互作用がより促進されることが推察された。このことは、ゴマペーストにおいても認められた。ショ糖、塩化ナトリウムおよび水を添加して加熱すると、予め加熱した試料は未加熱試料よりも硬化した。糖質により硬化が抑制され、ゲル化が抑制されることが示された。
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