研究課題/領域番号 |
14580174
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研究機関 | 独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所 |
研究代表者 |
平尾 良光 独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所, 保存科学部・化学研究室, 室長 (40082812)
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研究分担者 |
井上 洋一 独立行政法人国立博物館東京国立博物館, 学芸部・企画課・展示担当室, 室長 (60176451)
早川 泰弘 独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所, 保存科学部, 主任研究官 (20290869)
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キーワード | 青銅器 / 古墳時代 / 鉛同位対比 / 産地推定 / 鉛 |
研究概要 |
本研究の位置付けは次のように示される。すなわち日本における金属文化の変遷を明らかにする研究の一環として、古墳時代の青銅器に関して、その材料となった銅、スズ、鉛などの元素組成、および鉛の同位対比から推定される産地を理解することから、金属利用の歴史的発展を明らかにすることを目的としている。このためにはどのような資料を測定することがどのような内容を意味するかという考え方、そして実際的にどの資料から測定資料をどのように採取できるかが大切である。本研究では資料として、東京国立博物館所蔵品、群馬県の観音塚古墳、千葉県の金鈴塚古墳などから出土した資料の提供を受けることができた。また、日本の古墳時代平行期における韓国で出土した資料を約60点提供していただいた。これらに加えて、イタリア、ジェノバ市にあるキオッソーネ博物館が所蔵する仏像が描かれている青銅鏡を初めとする約20点の資料を採取することができた。このような資料の採取を続ける中で、資料の鉛同位対比測定を進めた。 その結果の一部から次のように理解されるようになってきた。キオッソーネ博物館所蔵の仏獣鏡は日本でも類例がきわめて少なく、注目されている資料である。この資料の鉛同位対比は日本で出土した他の仏獣鏡と2点と同一ではないが、似たような値を示した。また九州福岡県の宮地嶽古墳から出土した鉛ガラスと、千葉県金鈴塚古墳から出土した青銅製品および銀製品が系統的に似た鉛同位対比を示し、類似した産地を強く関連づけた。またこれらは朝鮮半島の材料であることを示唆している。このように、これらの資料に関する自然科学的な結果は弥生時代青銅器のみならず古墳時代青銅器においても着実に成果を上げており、幾つかの独立した考古学的な発掘・発見を互いに関連づける新しい要素を示している。
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