研究課題/領域番号 |
14580176
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
文化財科学
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研究機関 | (財)元興寺文化財研究所 |
研究代表者 |
村田 忠繁 財団法人元興寺文化財研究所, 管理部, 研究員 (50210042)
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研究分担者 |
吉井 敏幸 天理大学, 文学部, 教授 (40150148)
内藤 正子 財団法人元興寺文化財研究所, 管理部, 研究員 (40280838)
山形 隆司 財団法人元興寺文化財研究所, 管理部, 研究員 (00342999)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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キーワード | 文書修復 / 膠 / メチルセルロース / 引張り強さ試験 / 引裂き強さ試験 / 耐摩耗強さ試験 / こわさ試験 |
研究概要 |
本研究においては、文化財や歴史資料としての紙が保存修復によって変化する強度の定量化を試みることが目的であった。本研究で試みた強度試験は、引張り強度試験・引裂き強度試験・耐磨耗強さ試験・こわさ試験で、サンプルとして、コピー用紙・新聞紙・和紙・竹紙の4種類を用意し、90℃50%の環境下に12日間さらしたものを、劣化資料として、それをメチルセルロース2%溶液と水牛膠5%溶液の2種類の樹脂で強化処理を試みた。なお、試験前に、各資料の坪量・密度・pH値を測定した。 4種類の資料に対して、標準のものと劣化させたもの、そのそれぞれに未処理・メチルセルロース・膠で強化処置を施したものの6通りの資料の方向性を鑑みタテ・ヨコ方向での強度試験を、合計48種類行った。 研究結果としては、強化処置を施すことで劣化した紙葉の強度は非常に高くなったが、本来的に必要とされる強度であるかは検討と要した。特に和紙・竹紙において、しなやかさがなくなるものに対して、どの程度の「こわさ」が必要であるのかは、資料利用者・修復担当者での意見交換が求められる。 また、強化処置材料として膠の利用を試し、一定の成果を見ることができた。膠が文書修復において汎用できるには、上記の課題の克服が必要である。 今回は、紙葉の脱酸処理を行わなかったことや、異なる樹脂濃度での強化処置を試せなかったことなど、探るべき課題も残った。今後、さらに精度の高い試験を行うことで、文化財としての紙の強度基準が求められよう。
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