研究概要 |
本研究は、オーセンティックアセスメントを、理科授業の実態を踏まえ臨床的に明らかにする試みである。 オーセンティックアセスメントとは、要求された行動を完了するプロセスだけでなく、現実の文脈の中でそれらを成し遂げるプロセスでもある。オーセンティックアセスメントでは有益で、重要で、意義がある、すなわち、オーセンティックな課題が提示される。オーセンティックタスクはテストの開発以上のものである。これらは教授の実践、あるいは、学習を評価するオーセンティックアセスメント用ツールに依存している。また、オーセンティックアセスメントは、効果的な、教授・学習・動機付けの原理と一致しなければならない。 我々は、オーセンティックタスクが次の6つのアスペクト(G.Wiggins,1998)を含んでいると捉えた。(1)現実的課題である。(2)判断や確信を要求する課題。(3)主題の実行を求める課題。(4)課題は、市民や個人の生活、職場の文脈を模倣・シミュレーションしている。(5)複雑な課題に対して、真に知識やスキルが使えるかを評価している。(6)試行・実践・調査などの機会が準備されている。さらに、パフォーマンスや作品に磨きをかけるためのフィードバックの機会がある。 オーセンティックタスクへの応答は、日々の教室の授業に生かされ、さらに、教授や学習を方向づける生徒の評価を生み出す。 また、オーセンティックアセスメントでは、評価の中で使用する基準に多くの注意を払っていく必要がある。さらに、オーセンティックアセスメントでは自己評価を促進することができる点も意識すべきである。そこでは、自己評価が従来のテストよりはるかに大きい役割を果たしている。 最後に、教授に対する臨床的な視点から、オーセンティックアセスメントの評価結果を用いたフィードバックの方法については、今後の課題として残った。
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