研究課題
前年度において、先行研究の検討と具体的な子どもの学習過程のデータの分析を通して、学習者が他者の説明に対して、自分のそれまでの意味づけの影響をともなった意味づけを行い、その中で新旧のアイデアのハイブリッドを構成しながら新しいアイデアをアプロプリエートすることを示していたが(International Journal of Science and Mathematics Education誌の論文として発表)、今年度は他のデータにおいてもこうした学習過程が同様に観察されるのかを検討し、その枠組みの妥当性を高めることを試みた。また、その学習過程の特徴から、新しいアイデアのアプロプリエートを促すために可能と思われる支援のあり方についても検討した。それらの検討したデータのうちの一つは、第2年度の最後の記録されたもので、小学校6年生において数量関係に関わる行われた5時間の授業のデータであった。そこに参加する子どもの学習過程の分析からは、比例の考え方と2乗に比例するというきまりという新旧2つのアイデアの混じり合ったハイブリッド的な考え方が見られることが導かれた(日本数学教育学会論文発表会において発表)。また、データのうちの別のものについては、小学校5年生の1単元の授業における子どもの学習過程を観察したこともあり、単元の前半で学習した内容と後半で学習した内容との混じり合ったアイデアの形成される様子が観察された。こうした学習過程の特徴に鑑みたときに、子どもの考え方の中に混じり合っているいくつかのアイデアを子どもたちが認識し、それらを分離し意識的に関連付けられるような思考の場(例えばそのための外的表現)を提供するということが、可能な支援となることを考察した(「上越数学教育研究」誌の論文として発表)。
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日本数学教育学会誌 (印刷中)