H16年度の理科教育の創造性研究は、次の3つに分けられる。 (1)自由試行の理科実験における子どもの活動スタイルと創造的思考との関係を探る研究。 3×5×1.5(cm)の発砲スチロール板に爪楊枝をさしたもの(ガタガタ虫)を作成させ、それを振動する板の上に置き、直線運動させる自由試行の教材を開発した。小・中学生を対象に、これを用いた自由試行をさせ、その時の活動を記録分析した。その結果、活動スタイルには、新しいことを次々と調べるものや一種類に集中するものなど3つに大別できた。さらに、活動スタイルによって、創造的思考に違いがみられるなどの知見を得た。また、紙製の竹とんぼを用いて同様な研究を試みた。(研究の一端は日本理科教育学会全国大会論文集2号に掲載) (2)中国の中等理科教育における創造性教育の史的研究。 中国の資質教育の発展過程と創新教育の研究の実態を把握し、中国の創造性教育研究の特性と発展状況を調べた。それにより、日本での創造性教育の参考資料となる点を明らかにした。(日本理科教育学会全国大会論文集2号、日本科学教育学会年会論文集28) (3)理科実験器具も整い物質的な豊かさのある国とそうでない国として日本とカンボデアを取り上げ、それぞれの国の大学生を被験者とし、創造的思考を理科版創造性検査で比較した。その結果、理科教育環境の整った日本が創造的であるとはいえない結果を示すなど、興味ある知見が得られた。その他、創造性を育むことをめざした中学校理科指導法の研究も行った。(中学校理科発展的な学習事例集 東洋館出版)
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