研究概要 |
平成16年度では、6月から12月にかけて、体験型の理科実験工作教室である「青少年のための科学の祭典」を岐阜県内の小学校や科学館や中学校において6回開催し、児童・生徒および保護者など参加者数合計は約1万人位になった。その体験型教室において、小学生が、実験工作を行う際の活動を分析した。結果は、特定の活動に固執するタイプ、行き詰まると最初からやり直したり挑戦的に活動を広げるタイプ、周りの児童の模倣をするタイプの3つに類別することができた。特に、活動を広げるタイプは、理科の成績もよく科学的思考ができる児童であることが分かった。また、理科学習の平素の意欲などとの関連も調べるなどし、多くの知見を得ることができた。この結果は、日本理科教育全国大会論文集第2号と日本科学教育学会年会論文集第8巻に発表した。 また、創造性育成法の開発とその実践的検討を、小学校理科5年「てこ」の授業、および、高校物理1A,高校生物1Aの授業で行った。小学校では、チェックリストを用いると創造性下位群では拡散的思考を促し、反対に、創造性上位群では拡散的思考を制限することなどを明らかにした。また、高校の実践からは、チェックリストの内容が創造的思考を促す場合には創造的思考に有効となることが判明できた。また、高校の実践からは、類比推理を授業の中で意図的にさせる授業では、類比推理を取り入れた創造的思考検査において高い得点を得る結果を導いた。なお、小学校と高校で行った研究では、本研究で開発して理科版創造的思考検査を用いた。さらに、高校では、類比推理と拡散的思考をさせる類推思考検査を開発して用いた。 これらの実践的研究から、創造的思考能力は適切な指導方法によって向上することが明らかとなった。また、拡散的思考をさせる問題や或いは類比推理をさせて創造的に考えさせる設問から作成した理科版創造的思考検査は、創造的思考を測定する有効な検査であることが分かった。
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