研究概要 |
H14年度には,(1)H13年度に実施された日中遠隔協同学習の分析と,(2)日タイ遠隔協同学習の実施,および,(3)H15年度に実施予定の遠隔協同学習のための教育内容の構築を行った。 (1)について ギルフォードの研究を基に,創造的態度を調べる評価用具を開発し,それを用いて分析した。その結果,協同学習を行う前と後では,中国側の生徒における創造性態度に著しい伸長が見られた。中国側は遠近法を独自で学習した2名の生徒が中心となって多の生徒に指導し,生徒自らが独自のテーマを解決する学習形態を採ったことにより,生徒にとって自由な発想を生かせる学習となったことに起因すると思われる。 (2)について 11月中旬から2月下旬にかけて,京都教育大学附属高校とタイ国ラジャヤバット総合大学アユタヤ高附属高校の1年生同士で,「自然と数学-フラクタル幾何-」をテーマにTV会議システムを利用した遠隔協同学習が実施された。交信授業(DLと略記)1では,日本側がカオスゲームの説明をし,アフィン変換を利用した葉っぱのシュミレーション結果を発表した。DL2では,タイ側がメナム川のフラクタル次元の測定方法を説明し,その結果を発表した。DL3では,日本側が若狭湾や雪の結晶等のフラクタル次元を測定した結果を発表し,タイ側は葉っぱのシミュレーション結果を発表した。3回のDLで,相互の学習成果を交流することができ,自らの研究成果を発表できた。交流により,新しいアイデアがうかぶなど,創造性育成に効果があることが示唆された。 (3)について 大学生同士による日独遠隔協同学習が計画され,そのための教育内容を作成中である。両国とも文化を織り込んだ数学を中心とする総合学習の内容を作成している。
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