研究概要 |
幼稚園における環境教育への取り組みの実態,特にビオトープ作りについて,アンケート調査(1),(2)と,設置園実地調査,設置・活動指導を行った。 1.アンケート調査(1)では,ビオトープの認知や設置,環境教育との関連について実態調査を行い,全国の国公私立幼稚園のうち約400園から回答を得た。その結果,ビオトープを知っているのは60%である一方で,設置しているのは36%であった。.また環境教育との関連性では,「大いに」,あるいは「やや」あるとの回答は86%であり,ビオトープ作りが環境教育上,有意義な活動であるとの認識は高かった。 2.設置園の実地踏査は関東地方の21園に対して行った。その結果,ビオトープは移動・撤去が容易な容器から花壇・菜園などの「設置位置・規模」,飼育栽培容器や雑草地,花壇,菜園などの「構成要素」,トロ箱から池や水田,小川などの「水環境」,それを維持するための衣装ケースなど「容器」,さらに「生物構成」,園芸品種から雑草などの「植物構成」,「設置者」や「管理者」,「管理形態」など,さまざまなカテゴリーの要素の組み合わせから構成されていた。 3.アンケート調査(2)は環境教育・自然体験の場に対する意識調査で,東京都内の21の幼稚園を対象とした。その結果,「環境教育」からは「自然体験」,「自然のリサイクル」,「自然保護」,「生命の尊重」が多く思い浮かばれ,「炭酸ガス排出」などの環境問題は少なかった。このことから,幼児教育者にとって「環境教育」とは子どもの自然の体験や理解のことであるとがうかがえた。また,室内での飼育・栽培から園庭,ビオトープ,動物園・水族館などが持つ自然体験の場としての属性(簡便性,即時性,直接性,連続性,応答性,継続性,再現性など)の相対的な評価から,それらの特性を生かした,それぞれの自然体験の場の総合的な活用が必要と考えられた。
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