北海道、東京都、福岡県、沖縄県の述べ2241園に対して園内や周辺の自然環境と保育内容についての実態調査を行った。「園周辺の自然環境」は「公園」「路地」「草むら」などが多く、保育所のほうが比較的豊かだった。園庭には「幼児が栽培する花壇や鉢植え」「木陰で遊べるような木」「どろんこ遊びの場所」「捕まえて遊ぶ小動物・昆虫」「飼育動物」などが多く、幼稚園の方が大変豊かであった。保育室内には「飼育している小動物」「栽培している植物」が多かった。沖縄県の園内自然環境は豊かで、保育実践の実施期間や実施の程度は高かったが、北海道は気候が厳しく、自然に親しむ保育の実施期間も短いことがわかった。園内保育の「植物を使った製作遊び」は実施程度が低く、「水、土など自然事物とかかわる活動」は実施の程度が高かった。園外保育の「散歩して植物や動物を観察したり採集をする活動」は、北海道以外の地域では、50%以上の保育所が一年中実施すると答え、保育所のほうが実施期間が長く、実施の程度も比較的高かった。要因として、幼稚園は園内が豊かであるが保育所は周辺の自然環境が比較的豊かであること、幼稚園に比べて保育時間や期間が長く、ゆったりとした保育時間であることなどが考えられる。ほとんどの保育者は「自然とふれあう保育が子どもの成長にとって大変重要である」と感じ、「成長における評価は見えやすい」「保育計画に無理なく位置づき年間を通して継続して実施されるべき」と考え、「衣服の汚れやケガは課題とは思っていない」ことがわかった。これらの結果をもとに望ましい園内自然環境のあり方や周りの自然の生かし方、また、保育実践や課題を提言し、さらに15年度は「自然と親しむ保育」を実践することが幼児の成長や行動変容にどのように影響を与えるかについて、実際に幼稚園・保育所での子どもの活動を経年的に観察することによって、質的に検討することを試みる。
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