研究概要 |
本研究の目的は,小中学校の現職教員が自分で自分の情報教育の授業を振り返り,授業の自己改善を支援できるように,VOD(ビデオ・オン・ディマンド)技術を応用した映像付きティーチング・ポートフォリオを活用した情報教育授業改善支援システムの開発と実用化である。 (1)VODに対応した映像付きのディジタル指導案を含むティーチング・ポートフォリオ作成システムを研究開発する。システムはWebサーバに構築し,公開利用できるようにする。 (2)ティーチング・ポートフォリオをVODサーバに蓄積し,自分の授業映像を振り返り視聴し,自己評価を支援し,他者の授業映像を閲覧し交流を図る遠隔教育対応の授業改善支援システムを開発する。 (3)開発された情報教育授業改善支援システムを本研究の研究協力機関である滋賀県総合教育センターでの現職教員研修会で試行し,システムの有効性と改善点を検証する。そして,試行結果をもとに改善し,研究協力者の各学校現場から,本システムを活用した遠隔教育対応の授業改善研修を実施し,実用化をはかる。 今年度は研究期間の2年目であり,1年目で開発した「VOD対応ティーチング・ポートフォリオを活用した授業改善支援システム」を教育実習前の学生の模擬授業で活用して,授業改善に効果があったかを検証した。また,現職教員を対象とした授業研究会でも活用し,授業リフレクションに関して数的分析や内容の質的分析を行った。その結果,伝承,あるいは記述のみで継承されてきた教授スキルを,マルチモーダルな形で提供することができたため,これまで困難と思われていた授業スキル訓練,例えば,授業を実践している教師の表情,児童・生徒との向かい合う際の姿勢やアイコンタクト,教授時のジェスチャー等,非言語的な授業スキルに関しても,授業者のリフレクション(自己内省)がおこり,自己の授業改善をめざしたより効果的なマイクロティーチングが展開されたと考えられ,本支援システムの有効性が限定的状況ではあるが実証された。研究の中間成果を香港での国際学会International Conference on Computers in Education (ICCE 2003)で発表し,Best Paper Awards Nomineesを獲得した。
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