平成14年度においては、(1)現職教員に対する児童認知調査の縦断実施とフィードバックデータを蓄積する、(2)同一学年集団に児童認知調査を実施することで学年協働意識の検討を試みる、をすすめた。これにおいて各教職暦層での縦断資料とフィードバック資料の充実がはかられた。 (1)での縦断実施データより、教師内の児童認知スタイルの一貫性が担当学級の変化にもかかわらず確認され、児童認知スタイル自体がより教師自身の特性を的確に示す情報を持つ示唆を得た。また、このような教師特性が具現化したものとして学級環境が形成されるとの視点に立ち、学級環境と子供のメンタルヘルスとの関連の議論をHICSSにて国際発表、その議論に教師のメンタルヘルスの問題を重ねて国内学会(教育心理学会)で発表、加えて国内紀要(京都教育大学紀要)にて公刊した。 (2)では、公立小学校において担任教員が学級に向ける視点について自覚を促すことで、学級運営能力の向上に貢献することを試みた。小学校5年生担任の3教員に児童認知調査を2回実施し、このデータに基づいてフィードバックを行った。結果として得られた彼/彼女らの発言の分析から、児童との関係作りの深まりと子供の捕らえ方の変容、学年協働意識の確認の示唆を得た。(2)の成果について公刊原稿を作成し、平成15年3月現在で投稿中(審査待ち)である。
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