平成15年度において前年度に引き続いて、初任・中堅・熟年各期にある教師の児童生徒調査データを縦断的に収集およびフィードバックの実践を展開した。 特に平成15年度では縦断的調査のデータを再分析することで、年度内における同一学級に対する把握スタイルの変化パターンの類型化を検討した。これにより、児童生徒に関する教師内での情報処理に、教師間での個人差があることが明らかになった。 上記の検討に加え、平成15年度は小学校教員における学年協働意識を、この調査とフィードバックで確認する作業を試みた。一般公立小学校の6年生3学級の学年集団の研究協力を得て、この調査実践の積み重ねによる教師集団の協働意識の変化を聴取し、教育臨床的観点を中心に記述した。その結果、共同体としての意識の発達とともに各教師の個人内のふり返りが深く促進されることが報告され、このような調査による働きかけが、教師個人レベル・教師集団レベルの双方に効果を示したことを確認できた。 加えて、これまでの成果を概観し、ハワイ国際社会科学会議で発表した。
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