研究概要 |
期間中の研究成果を「I部:教師に関する探求」「II部:学級環境との関わりにおける探求」の2部で報告書としてまとめた。 教師に関する探求(第I部)で、まず教師としての自分と実際の自分に対する認知の関係を、教育実習生の事例によって示した。これにより、教師用RCRTの方法が教育場面における教師自身が自らを内省する手がかりを得る上で、有用な方法であることを示した(1章)。次に学校教員が職務を遂行する上でのストレスの検討成果を示した。ここで、相互のサポート関係の充実が、業務における自信の精神的健康を維持するために重要な要因であることを示した(2章)。教師集団における人間関係の充実が、健康維持においても重要であるということである。3章では、教師用RCRTの方法を介して同一学年を担当する教師集団に関与し、教師間の関係を深め、結果として児童生徒の指導の充実につながった事例を示した。次に、この変容と効果について現職教員の視点から再評価した(4章)。そして、このような教員への関与の意義を海外発表した記録を掲載した(5章)。 学級環境との関わりにおける探求(第2部)では、まず学級風土の視点から学級環境をアセスメントする方法の開発を示し(1章)、この成果と精神的健康への効果に関する海外発表の記録を掲載した(2章)。次に、中学生および小学高学年を視野に含めた児童生徒の学級環境の変化に対する反応とそこにおける教師の役割について議論した。教師の変化は、実際には行動と共に教師の視点の変化にも現れていた(3,4章)。高校生における学級環境の変化の効果と過程を検討し、教師のまなざしの変化が学級環境の変化を促し、結果として生徒に効果を及ぼす示唆を得た。
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