本研究では、視覚障害者の方でもHTMLドキュメントの内容を視聴できるような音声ブラウザーを試作した。これはHTMLドキュメントとしてテキスト形式で提供されている視覚情報を音声合成エンジンを利用して、聴覚情報に変換する機能を有す。また視聴に伴う音声ブラウザーの操作も、テンキーだけで操作が可能な使用し易いユーザインターフェースを実装した。これにより、視覚障害者の方に対してインターネット上に存在する様々な情報の提供が可能になると考えられる。 さらに本研究で作成した音声ブラウザーは、一般的なWWWブラウザーの視聴方法を踏襲している。しかし、この音声ブラウザーの表示アルゴリズムを変更するだけで、ハイパーリンク先だけを表記した新しい表示形式の音声ブラウザーの作成も簡単に適応できる。さらに、音声データベースから1文章ずつを抜き出し、分かち書き変換や文章のひらがな化、さらには点字用プリンタへの適応など様々な展開が簡単に行える。 また具体的な応用例として、過去に発表した仮想電子点字図書館システムの閲覧システム部分に組み込むことが考えられる。これにより点字の閲覧技術をマスターしていない人でも、図書を聴覚情報として視聴できるので、より広い層への使用者の拡大が見込まれる ここではVisual Basicを用いて音声ブラウザーを開発し、テンキーの操作によってのみ視聴可能なオペレーションシステムを実装した。これにより、使用者はパーソナルコンピュータに不慣れな人でも簡単にHTMLドキュメントが音声情報として視聴可能な事が示された。さらにこれは、音声ブラウザーによる視聴を考慮していない既存のHTMLドキュメントでも、ある程度の視聴が可能なことが示された。
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