大学などの教育機関において、講義などで利用するパーソナルコンピュータ(以下「PC」という)を常時正常に動作する状況に保つことは重要であるが、そのようなPCが遠隔地にあるキャンパスの複数の教室や、校舎内の多数に場所に分散して設置してある場合、その利用状況や障害発生の様子を管理者が把握することは難しい。 我々はこの問題への対処としてネットワークを介してPCの利用状況や稼動状況に関する情報を採取し管理者に情報提供するシステムを構築していたが、その実装は特定の運用環境のもとでホスト計算機の提供するサービスに依存したものであった。本年度は、このシステムの構成を、PCよりホスト計算機に向かって稼動状況の情報を通知するクライアント・サーバ型のモデルに基づくものに改善し、一般的な運用で利用可能なものとした。 また、取得した動作状況のログを統計的手法によって分析し、同一教室内に設置されたPCの中で利用の状況に特異性のあるものを障害の惧れのあるものとして管理者に通報する機能を実装した。さらに、管理者がPCの状況を把握するのを支援するものとして、利用者から管理者への簡易的な障害報告機構を実装した。 障害発見は現在は統計的な手法を用いているが、今後はパターンマッチやデータマイニングの分野の手法を導入して検出の精度を向上させる予定である。また、利用者の障害報告機構をログの分析と連動させて、利用者の支援によって障害発見の精度を向上させる機構を実現する予定である。
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