研究概要 |
遠隔教育や遠隔共同作業のコミュニケーション評価では,遠隔教育の様子をVTRなどで撮影して後で再生しながら参加者の行動を分析する観察的な手法が用いられるが,この手法には多くの時間が必要であり,分析支援の枠組みが必要であると考えられる.本年度は,平成14年度に開発したプロトタイプを基盤としていくつかの機能拡張とシステムの評価を行った.さらに,本システムの運用で明らかになった視野推移選択インタフェイスと視野推移フィードバックインタフェイスのGUIの改善を行った.具体的な研究内容は以下の通りである. システムの完成:平成14年度までの研究で構築されたプロトタイプシステムを基盤としてシステムの充実を図り,遠隔教育における参加者行動分析支援システムとして完成させた.具体的には,カメラ状態取得タイミングとカメラ状態ログおよびカメラの実映像記録フォーマットの見直し,分析支援システムにおける視野推移選択インタフェイスへのズーム率の時系列推移に着目したインタフェイスの追加,同システムにおける視野推移フィードバックインタフェイスへのタイムラインフィードバックインタフェイスの追加を行った. 遠隔教育実習を題材とした分析支援システムの評価:開発したシステムを遠隔教育実習指導に適用することで評価した.分析対象は,教育実習を遠隔からリモートカメラを使って覗き見ている大学教官である.その結果,本システムにより,教官の特徴的な視覚的行動を円滑に抽出できることが明らかとなった. なお,本研究の成果論文である"リモートコントロールカメラを用いた遠隔教育における参加者行動分析支援システムの提案と開発"は情報処理学会第11回マルチメディア通信と分散処理ワークショップにおいて,奨励賞を受賞した.
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