不登校の子どもが年々増え、保健室や養護教諭の存在が重要なものとなってきた。しかし、養護教諭は基本的に各学校に一人しかいないため、養護教諭自身がストレスを抱えるようになってきている。先行研究では、こうしたストレスを抱える養護教諭に、時間的空間的に自由に自己をリフレッシュする機会を提供するため、「養護教諭のための自己理解システム」をインターネット上に構築したが、システム試用の結果、自己理解だけではなく、スーパーバイザーの指導を受けたり、養護教諭同士がコミュニケーションをはかったりできる機能が望まれていることが明らかになった。本研究では、先行研究の成果を活かし、初年度はこれまでに開発してきた自己理解システムを拡張して、これらの機能を持たせる方法について検討した。2年目にあたる本年度は、自己理解結果をより深める手がかりとして、自己理解時に要した回答所要時間を利用することが有効であると考えられたため、自己理解システムに回答所要時間を記録する機能を付加し、また、どこでも手軽に使用できるよう、携帯情報端末(PDA)でも使えるサイトを新たに作成した。さらに、ネットワーク上でコミュニケーションを促進するためには、エンカウンターグループでのファシリテータの機能をシステムに持たせること、及び養護教諭が情報を発信し、コミュニティに参加している養護教諭が情報を共有することが有効であると考えられたため、本研究の最終年度にあたる来年度は、ファシリテータ機能の搭載や、グループアプローチの基本である養護教諭の情報発信についての機能の搭載をはかり、統合的なシステムとして完成させる予定である。
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