「体験に焦点をあてた日本の伝統音楽の教員養成プログラムの開発」の中で"箏"に焦点をあてて研究を行っている。今年度は(1)教員養成及び教育現場で利用できる教材の開発について、(2)箏の指導方法について、研究を行った。 (1)教員養成の教材では、箏の様々な奏法を通して演奏体験できる日本の音の特徴(音の余韻・微妙な音程・音色などの変化、雑音効果の様々な奏法)を取り入れて教材を作成し実践を試みた。また、教育現場で利用できる教材に関しては、小学校高学年から初心者が利用できる教材を開発し実践を試みた。どちらの教材も、既成の楽曲を演奏するものだけでなく、学習者自らが、様々な奏法を組み合わせて、音色を確かめながら、演奏表現する活動を取り入れた。その結果、日本の音の特徴と良さを理解できると共に、実感しながら学習できることが明らかになった。 (2)箏の指導方法については、奏法の習得状況と様々な奏法の特徴の味わい状況の両面から、学習状況を調査して指導方法を考えた。その結果、特に奏法習得が難しい奏法が明確になった。また、奏法の習得状況と自らの演奏の味わい状況は、比例関係にあることも明らかになった。さらに、奏法や味わい状況の細かい項目を自己評価することで、学習が深まることも明らかになった。 そこで、平成16年度は、いままでの成果をISME(国際音楽教育会議)の世界大会で発表し、幅広く意見を求めるとともに、世界各国のこれらに関する指導方法等の現状を収集し把握し活かして、箏の学習プログラム案をまとめる予定である。
|