研究課題/領域番号 |
14580253
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
谷本 晃久 北海道教育大学, 教育学部岩見沢校, 助教授 (20306525)
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研究分担者 |
谷口 幹也 鳴門教育大学, 学校教育学部, 助手 (30335830)
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キーワード | 砂澤ビッキ / 歴史教育 / 美術教育 / 教材開発 / 地域学習 / 彫刻作品 / 日本近代史 / 作品鑑賞 |
研究概要 |
1、谷本による成果 谷本個人の研究に関わる成果としては、彫刻家砂澤ビッキの来歴に関連して、近世・近代アイヌ社会の史的位置づけに関する仕事が為された。菊池勇夫編『日本の時代史19蝦夷島と北方世界』(吉川弘文館、2003年)に執筆した「アイヌの『自分稼』」では、砂澤の作品の背景をなす「蝦夷細工」と称された近世アイヌの伝統工芸技法につき、それが継承された社会的背景について論及した。同論文図版99〜101はいずれも確実な近世「蝦夷細工」の写真であるが、これは本研究に関わる資史料調査の過程で収集されたものである。また、砂澤の出身地域である近文地域(現・旭川市)における明治前期のアイヌ社会に関する社会・文化構造の特質については、財団法人アイヌ文化研究・推進機構編『平成14年度普及・啓発セミナー報告集』所収「琴似又市と幕末・維新期のアイヌ社会」で認識を深めることができた。それに続く、砂澤の親の世代の時期における近文の状況についての検討の成果は、北海道ウタリ協会江別支部江別アイヌ史学習会において「明治33年、近文原野旧土人給与予定地奪取事件をめぐって」と題し、公表している。 2、谷口による成果 谷口個人の研究に関わる成果としては、谷本との共同報告「彫刻家砂澤ビッキにおける風土・歴史・近代」の発表概要集の執筆を担当した。また、第26回美術教育学会広島大会において報告した「美術教育のリアリティを考える-アート・地域性・多文化社会を中心にして-」において、本研究の成果である蔡氏との対話を踏まえた報告を行なっている。 3、谷本・谷口共同しての成果 夏に実施したカナダ国バンクーバ市ならびに米合衆国ニューヨーク市における共同調査ならびにこれまでの研究擦り合わせにより、一定の成果が得られた。具体的には、バンクーバ市におけるpiroche家資料所在調査ならびに聞き取り調査により、新出の砂澤作品が見出され、また、それぞれの関心による情報収集が果たされた。また、ニューヨーク市における蔡國強氏聞き取り調査により、それぞれの関心による意見交換と情報収集とが為された。これらの成果の一部は、2003年10月8日に「大学教育美術学会」大会において「彫刻家砂澤ビッキにおける風土・歴史・近代-美術教育と歴史教育との対話による教育実践に向けて-」と題して共同報告を行なったところである。
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