本研究は、A.国語科における説明的文章の吟味についての指導B.「A」の指導を「総合的な学習の時間」の「情報吟味」に生かしていくための指導-の在り方を解明していくことを目的としている。 平成15年度は、「A」「B」ともに成果があった。 1.「A」については、京都府立命館宇治中学校・高等学校の岩崎成寿教諭、東京都町田市立小山田南小学校の永橋和行教諭などとの共同研究を通じて、国語の授業における説明的文章の指導のあり方について追究をした。説明的文章教材の文章構造を把握する過程、論理関係を把握する過程、それらの過程を前提として優れた点・不十分な点について多角的に吟味をする過程、といった指導過程の追究も進めた。また、吟味の方法についてもさらに検討を進めた。たとえば「解釈・推論相互に不整合はないか」「問題提示と解釈・推論との間に不整合はないか」等の方法である。 2.「B」については、昨年度に引き続き埼玉県入間郡三芳町立三芳中学校の高橋喜代治教諭との共同研究によって、説明的文章教材の吟味を「総合的な学習の時間」の学習に発展させる形の実践についての検討を深めた。特に、今年度は、メディアを吟味するという観点を取り入れ、「メディア・リテラシー」の実践構築も試みた。この分野は、国語科の領域であるが、同時に「総合的な学習の時間」の領域ともなりうる。 3.これらの実践構想および実践は、平成15年8月に成蹊大学で開催された科学的「読み」の授業研究会において提案をした。 4.今後は、上記の成果を発展させつつ、吟味の方法を体系点・系統的に解明していきたい。また、「メディア・リテラシー」の観点からの追究も進めていきたい。
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