本研究の主目的は、学校での家庭科学習と家庭生活での実践をいかに結びつけるかを検討することであるが、3カ年計画の初年度においては、家庭における親の態度及び児童・生徒の家庭生活実態を捉えることを目的として、以下の質問紙調査を実施・分析を行った。 1、平成14年6月〜7月にかけて、福島県立安達高校の1年生の保護者174名を対象に、(1)子育ての意識、(2)子育ての実態、(3)子育てで重視したことに関する調査の実施と分析。 2、平成13年8月〜10月にかけて実施した福島県の大・中・小規模地域における児童・生徒(839名)の家庭生活に関する意識及び実態調査の分析。 これらの結果、上記1の調査結果において親が子育てで重視していることは、「礼儀作法に関すること」及び「家族との関わりに関すること」の割合が高く、「家事・手伝いに関すること(整理・整頓をすること、自分のことは自分ですること、食事の準備や後片づけ、掃除、洗濯・アイロンかけ、買い物、小さい子の世話)」の割合は低かった。しかし、もっと重視すればよかったこととして、「家事・手伝い」が自立の上で必要であったと回答した者が多くみられた。 上記2の結果においては、特に食生活の実践において、小学6年生及び高2女子の実践率が高く、中2及び高2男子の実践率が低い結果が見いだされた。地域別では、小6は大規模地域で高いが、高2では大規模が低く、小規模での実践率が高い結果となった。このように、家庭生活での実践状況は学年別、男女別、地域別により違いがあり、学年進行に伴って大規模地域の実践率が減少し、小規模地域での実践率が高まることが見いだされた。また、小6の家庭科学習の効果の大きいことが示唆された。
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