本研究は3年間計画で実施したが、取り組んだ主な内容は、1.子どもの生活実態の再検討(小・中・高校生の家庭生活調査-中国との比較-)、2.小学校の家庭科学習に関する定着状況、3.小学校家庭科の学習指導状況 4.学校と家庭の連携についてなどである。これらの結果、1では、我が国の児童・生徒は家庭生活上の実践状況はほとんどの項目において小学校がピークで、その後減少する傾向がみられた。これらは特に、家族全体に関わる仕事に関して強く表れており、家族の一員としての意識の欠如また自立・自律的な生活への自覚の乏しさなどが把握された。2では、小学校家庭科の基本的な学習事項が定着されていないこと、また、生活に対する関心の低さが明らかになった。3では、小学校教師たちが家庭科の学習指導に工夫を加えている例は少数であり、多くは教科書を頼りにした学習指導が行われていた。4では収集した生活教育(健康教育)の実践例を通して、学校での取り組みにおいては学校全体の取り組みとして位置づけることが重要であるとともに、学校と家庭をつなぐ方策として以下の点が必要であることが見いだされた。 (1)学校での生活学習を見える形にすること→公開授業、新聞や〜だより等の発行 (2)保護者を対象とした学習会を実施すること (3)子どもの生活上の課題を学校と家庭がともに取り組むこと 生活教育は子どもの学校での学び(学習)と生活を結びつけることが重要であるが、同時に学校教育と家庭教育も繋げられなければならない。保護者には上記(1)〜(3)を通じて、子育てにおいて子どもの生活力や生活認識を育てることの重要性を学ぶ機会を準備することが必要であり、それが学校に求められていると考える。 本研究の最終目的であるプログラム開発についてはなお検討を続けていきたい。
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