研究概要 |
本研究は,注意欠陥/多動性障害の児童生徒にとって,読字行動や書字行動の獲得が彼等の自己嫌悪感にどのような影響を及ぼすのか検討することを目的としている。 本年度は,(1)平成14・15年度に実施した読字行動や書字行動の獲得に関する実験的研究の学会報告,(2)読字行動や書字行動の獲得に関する実験的研究の推進という2つの観点から研究を進めた。 (1)Association for Behavior Analysis第30回年次大会(ボストン大会)でのポスター報告,日本行動分析学会第22回年次大会(帝京大学)でのポスター報告,日本特殊教育学会第42回年次大会(早稲田大学)でのポスター報告及びシンポジウムにおける話題提供を行った。 (2)2004年12月までに書字行動の獲得に関するソフト開発をほぼ終了した。本年度はそのソフトに基づく実験的研究を推進した。2004年7月より新たな被験者を募集し,現在,いずれも注意欠陥/多動性障害と診断された4名の被験者(小学生3名,中学生1名)を対象に,書字行動の獲得に関する実験的研究を進行中である。 4名の被験者ともそれぞれ漢字の書字を苦手としている。特に1名は小学校低学年であり,書字行動の獲得とともに書き順の支援を目的の一つに加え,自作ソフトを活用している。また,その他の3名は,単純な練習による書字行動の獲得と,本ソフト活用による書字行動の獲得の際に生じる差異を検討することにより,注意欠陥/多動性障害児にとって効果的な指導法を模索している。全被験者に書字行動の獲得が認められたため,これらの実験的研究に関する結果を次年度の学会報告の場で報告する予定である。なお,報告の際には,被験者のプライバシーが流出しないよう充分に配慮していくようにする。 それぞれの被験者に漢字の書き取りに関するアンケートを実施しているが,次年度の課題として自己嫌悪感評定尺度を作成し活用していく予定である。
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