研究分担者 |
尾崎 久記 茨城大学, 教育学部, 教授 (40092514)
山下 富美代 立正大学, 心理学部, 教授 (50062815)
松原 達哉 立正大学, 心理学部, 教授 (90015438)
田中 康雄 国立精神・神経センター, 精神保健研究所・児童思春期精神保健研究部, 室長 (20171803)
高橋 知音 信州大学, 教育学部, 助教授 (20291388)
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研究概要 |
今年度は、日本における診断・援助システムの開発をすすめるともに,国内ではLD学会における自主シンポジウム開催,また国外では高等教育に関する発達障害支援の国際会議(AHEAD)にて,報告および討議をおこなった。さらに,海外共同研究者であるPurdue大学ハインド氏を招聘し,意見交換を行うとともに,米国における支援の現状とその課題に関する討論と講演を開催した。国内でのAD/HD学生の支援に関する臨床報告をまとめたほか,昨年度に引き続き,大学生を対象としたAD/HDチェックリストに関する調査データの解析を例数を増やして実施した。また,外部妥当性を検証するため,アッケンバッハによる問題行動チェックリスト成人版(ASR)を訳出し,調査を行った。調査結果からは,成人期では減少するとの報告もあるが,むしろ一定程度周囲の支援もと,適応的に学生生活をおくっているものの,リスク要因を有する学生の数は学齢期と同様2%程度は存在していた。なお,0.2%程度は,問題化し,併存症などによりきわめて重篤化し,理解と支援が得られず経過していると考えられた。今回,米国では必須とされる、実行機能系検査などの神経心理学的検査バッテリで診断し、抑うつ、不安などの二次的障害や、学習上の困難を含め、組織的な対応の試みも含めて支援システムに踏み込んだ検討を行った。国内では,学生相談の限られた援助資源を有効に活用し援助効果を上げるためには,ピア・サポーターの協力,教官・事務官の理解,自己受容の深度化(認知特性を含めた)等が欠かせない要因であることが明らかとなった。
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