研究課題/領域番号 |
14580261
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
篠田 晴男 立正大学, 心理学部, 助教授 (90235549)
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研究分担者 |
松原 達哉 立正大学, 心理学部, 教授 (90015438)
山下 富美代 立正大学, 心理学部, 教授 (50062815)
尾崎 久記 茨城大学, 教育学部, 教授 (40092514)
高橋 知音 信州大学, 教育学部, 助教授 (20291388)
田中 康雄 北海道大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (20171803)
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キーワード | 大学生 / ADHD / AHEAD / 抑うつ / チェックリスト / ピア・サポーター / CPT / 不注意 |
研究概要 |
今年度は、日本における診断・援助システムの開発を深度化し,国内では2回目となるLD学会における自主シンポジウムを開催した。海外共同研究者であるジョージア大学LDセンター診断評価部長のM.J.Davis氏を招聘し、日米での評価手続きの実際と異同について意見交換を行い、援助資源の乏しい日本でも可能な評価手法について検討した。さらに、医学的な立場から、研究分担者の田中氏が、特に二次性障害への対応を含めて、議論に加わった。なお、当事者であり研究協力者でもある、東京学芸大学松本氏から貴重な体験の提供を得ることもできた。今年度は、神経生理的なアセスメントについても、データの検討を研究分担者の尾崎氏と進めた。健常群に比べてADHD事例では、事象関連電位(ミスマッチネガティビティーおよびP300)の刺激に対する反応が前頭部を中心に異なる反応を示し、聴覚刺激の自動処理過程および反応抑制過程における機能的な問題が示唆された。こうした認知神経生理的背景は事例が抱えた困難さ、生きにくさとも関連していた。以上、神経生理的評価も含め、実行機能を中心に認知障害の様相を的確に検討することが評価の鍵となりうること、その際現在標準化されているWAISやウェクスラー・メモリー・スケールなど既存の検査を組み合わせることで、認知機能の評価がある程度可能なことも理解された。今回、これまでの成果を基に、多元的評価のバッテリー案を提起した。さらに、事例研究から、チームによる心理教育的支援の有効性が示唆されたほか、医療との連携の中で、暫定診断を伝える意味、タイミング、などの前提条件について、慎重な議論の必要なことが確認できた。援助に関わる成果からは、包括的支援の方向性を提起した。
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