3年計画の2年目は、132名の学生を対象に、パソコンソフトSuperLab等を用いて個別テストを実施した。それらは6つのスキーマ修正テストの英文読解プロセス調査、TOEFLリーディングテスト、日本語・英語リーディングスパンテストの実施、および、10個のガーデンパス文テストと5個のスキーマ修正テストを用いた時間測定である。特にスキーマ修正テストは全てカセットテープに録音し、そのテープ書き起こしにほぼ1年間を費やしたが、全て完了した。この詳細については現在継続して分析し、まとめているところである。 また、今年度は、これまでのスキーマ研究で未解明の「背景知識の測定テスト」と、「スキーマが実際にどの程度の影響を与えるか」に焦点を当てた。今年度のこの課題における仮説は以下の2つである。仮説1は「多肢選択式とマッチングよりは、自由連想法と記述式の方が、読解との関連が強い」、仮説2は「L2リーディング熟達度と背景知識では、前者の方が強く読解へ影響する」である。 上記仮説をもとに、75名の学生を対象に3つの試験を行った。1つは「L2リーディング熟達度テスト」、次に「背景知識測定テスト」、そして、実験英文である「背景知識読解テスト」である。連合王国ランカスター大学でAlderson教授のもと詳細に分析した結果、以下の考察が得られた。 仮説1に関しては、背景知識測定テストとしては、(1)多肢選択式と記述式、(2)自由連想法、(3)マッチングの方法の順に適していること。 仮説2に関しては、テキストの難易度、背景知識測定テストの種類などが絡み合い、影響の強さが異なり、どちらか一方が必ず影響が強いということはないことが分かった。 上記成果は第29回全国英語教育学会にて口頭発表し、2つの学術雑誌に発表、指導への示唆については教員研修プログラムの一環として、1つの雑誌論文と1冊の図書(分担)にまとめた。
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