研究概要 |
本研究は,国内の多文化化・価値の多様化の進展に伴う教育の課題に応えるために,多文化主義(Multiculturalism)を前提とする教育のあり方を考える基礎的研究である。それゆえ,多文化教育の先進国であるアメリカ合衆国とイギリスにおける多文化教育論と「多様性」・「公共性」の両者に尊重した教育実践(カリキュラムや教科書等の教材を含む)の比較検討を通して,日本における多文化共生社会の教育のあり方について考察を行った。本年度は3年度の初年度にあたり,資料収集・分析及び基礎的検討を中心とした。そのため,本年度の研究を以下の四つの観点から整理した。 (1)アメリカ・イギリスで開発・実践されている「多文化教育」カリキュラムの収集・分析を行った。具体的には,今年度はアメリカ合衆国の教育局に赴き,社会科教育担当者及びカリキュラム開発担当者への意見聴取を行った。 (2)アメリカ合衆国におけるサービス・ラーニングの実践を,子どもの社会参加への支援の観点から考察した。 (3)多文化共生杜会に対応した教育の実現のために教師の多文化的資質の育成が重要であるとの観点から,教員養成大学教員養成・研修の必要性とあり方について明らかにした。 (4)本研究の目的である日本における多文化共生社会の教育のあり方についての検討の基礎として,社会科教育に関しては児童・生徒の社会「参加」の意義と必要性について,言語教育に関しては文章表現における「書き分け」への着目の必要性について,国際理教育に関しては総合学習をにおける授業開発のあり方について検討を行った。
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