研究概要 |
本研究は、学習者の生活情報の活用による選好評価の変容を測定する方法の開発を行うことを目的としている。授業研究に用いる教材内容について示唆を得るために、生活情報および学習者の実態調査を実施し、データ分析から得られた新たな知見を次に示す。 1.生活情報調査のデータ分析として、実施済みの一連の2地域比較調査(東京圏と地方都市)について、利用メディアの特徴を分析した。例えば、友人・知人は地方都市より東京圏でよく利用されており、「消費・文化」の情報内容において利用率と満足度を高めているなどの特性を指摘できた。 2.調査が完了している高校生の生活情報に関する学習希望調査について、生活情報内容と生活情報処理の2つの視点から分析し、家庭科の情報学習の方向性を明らかにした。 3.中学生の保有する衣生活情報について、新潟、東京、佐賀の3地点の合計2,383名を対象として、2002年5月〜6月に質問紙調査を実施し、分析し、地域別、学年別、性別における、特徴を析出できた。一例として、主成分分析で第1主成分として析出された「着用・入手の関心性」の主成分得点は、東京圏<新潟県<佐賀県の順であり、東京と他の地域の間に有意差が認められた。 4.「3.」の調査で用いた質問項目を用い、着用や手入れなど衣生活の要素における選好評価を尋ねる場面を取り入れたマルチメディア教材の作成を行った。 なお、「1.」「2.」については学会誌に発表し、「3.」の学会発表は準備中である。今後は、「4.」を用いて実施した授業分析を行い、衣生活で重視する要素について選好評価の変容をコンジョイント分析を用いて明らかにする予定である。
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