本研究では、生活情報を活用した授業研究を行う。そして、授業による選好評価の変容を測定する方法の開発を目的とする。本年度得られた知見を次に示す。 1.全国3地域における中学生対象の衣生活に関する実態調査を行った。その中で、衣服の購入時における選好評価を調査した。そのデータの、地域別・学年別・性別の比較を行い、特徴を明らかにした。また、コンジョイント分析とクラスター分析を組み合わせた手法で、ソフトウエアSPSS10Jを用いて、3つの服種別に、衣服購入のタイプを析出した。 2.衣生活情報に関するマルチメデイア教材「衣生活惑星」を用いた中学生対象の授業研究を行った。そして、授業の前後における衣生活の要素に対する選好評価の変容を調査した。20人の抽出生徒を、個別効用値の変容が類似している4つのタイプに分類した。 3.食生活情報と環境問題を扱った高校生対象の授業を開発した。中食に対する認識について、自由記述の回答をテキストマイニング法で分析した。それを価値認識構造図で表し、因果関係を見出した。その結果、高校生は、中食について手軽ですぐ食べられるから好きというロジックが最も多いことが判明した。 4.客観的な生体情報である注視点分析の導入により、調査対象の真意に近いデータを得ることが出来ると考えられる。そこで、テレビ放映された食品CMについて、注視点分析を用いた予備実験を行った。今後、テキストマイニング法と注視点分析を組み合わせて、総合的に判断できる選好評価の測定法を確立し、これを授業評価に生かす所存である。
|