研究概要 |
昨年度からの継続研究として,知的機能,視覚機能,運動機能につまずきのある児童・生徒を対象として,書字の獲得及び誤字の修正を中心とした書字指導プログラムの作成を目的に,書字行為における発達的諸特性に関する臨床的,基礎的研究を実施した。 本研究期間内では,次のような成果を得た。 1.盲学校に在籍する知的障害を伴う弱視生徒を対象として,平仮名及び漢字における書字の獲得を目的として定期的な指導・観察を行い,書字行為における視覚機能の役割について分析した。特に,拡大読書機を使用しながら文字を書く際の目の使い方や筆記用具の使用状態について検討した。また,誤字修正機能の獲得を促すための認知課題を並行して実施した。 2.小学校特殊学級に在籍する知的障害児を対象として,平仮名,片仮名,漢字の書字時に見られる誤字の自発的修正の様子,及び筆記用具の使用状態を継続的に分析した。また,この研究においても誤字修正機能の獲得を促すための認知課題を並行して実施し,その変化を観察した。 3.養護学校に在籍する知的障害児を対象として,学校,家庭,大学が連携をとりながら,獲得した文字を生活の中で使用していくことができるようになるための学習支援方法について検討した。特に,文通場面を取りあげ,その効果的な活用方法について検討した。 4.昨年度末に導入した新たな筆圧測定装置の使用可能性について検討を継続した。 なお,本年度までの成果は,平成16年度に東京において開催される日本特殊教育学会のシンポジウムにおいて公開する予定である。
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