研究概要 |
本研究の主たる目的は,3つある。第1は,「学びの総合化」を検証し、カリキュラム改善するための手段として、生徒の自己評価に着目し、生徒の自己評価を考慮した技術カリキュラムを実践・開発する。'第2は,自己評価データの収集及び分析活動を支援するための自己評価システムを開発することである。第3は,カリキュラム研究・開発を促進する視点から,生徒の自己評価を考慮した実践的な「カリキュラム開発モデル」を提案することである。そのうち,第2年次は,結果の分析・解釈及び構築したシステムの評価を目標とし,概ね計画調書通りの進捗が得られた。以下の2点から,研究成果の概要を述べる。 (1)結果の分析・解釈 平成14年度における上越教育大学学校教育学部附属中学校の実践研究から得られたデータをふまえて,技術科カリキュラムのデザイン過程について分析・解釈を試みた。その結果,1)カリキュラムを柔軟にとらえ,生徒の学びの事実から,カリキュラムを評価,修正し続けていること,2)授業検討会における討議からカリキュラムをデザインする情報を得ていることの実践的有用性を明らかにした。 (2)システム及び事例研究に対する評価 「教育研究入門セミナー」(1年次大学院生対象で全受講者は226名)において,自己評価システム構築の概要及びシステムを利用した研究事例について報告した。その結果,現職派遣院生を中心に,本システムに対する高い評価が得られたが,システムの活用については問題があり,自己評価の目的や意義を生徒教師間で再確認するとともに,効果的に自己評価や相互評価を実施し,自己評価能力を高めていくことが,今後の課題として指摘された。
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