研究概要 |
(1)各研究者が共同研究を行っている愛知県を中心にした各学校(約30校)の生活科および総合学習に関する研究紀要,実践報告,教育課程,評価規準等のデータを収集し,各学校におけるカリキュラム開発の動向をデータベース化する作業を継続中である。また,いくつかの学校において生活科および総合学習の授業を録画し,単元構想,学習指導案,それに基づいた指導や支援,評価についての検討を行った。この研究を継続し,今後,さらに対象校を増やす予定である。このような実践研究のなかで,総合的な教科としての生活科の在り方を理論的・実践的に明らかにするために,まず,合科的・関連的な指導の実態を把握することが必要であるという結論に達した。平成15年1月から2月にかけて愛知県下383校へのアンケート調査を実施し,現在,その結果を分析中である。この分析結果および考察についは,日本生活科・総合的学習教育学会第12回全国大会で自由研究発表を行う予定である。 (2)本研究は,生活科の理論的・実践的研究をベースとして「総合的な学習の時間」への接続と発展,および各教科との関連を明らかにすること,さらには総合学習時代における教科とは何かを改めて問い直すことを主な目的としている。そのためには,上述のような現在の日本における理論研究,実践研究だけでなく,アメリカやドイツにおける研究も行うことが意義深いと考えている。本年度は,20世紀への転換期から20世紀初期のアメリカにおけるカリキュラムの歴史的展開を「統合」概念に関係づけながら考察した。また,デューイ実践学校についての研究のため,シカゴ大学およびコロンビア大学において,実験学校の教師たちの実践記録である週報を中心に資料収集を行なった。デューイ実験学校の理論と実践は,カリキュラムの統合に関してだけでなく,生活科および総合学習の源流として貴重な歴史的遺産である。
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