平成14年度は、研究計画に従い、朝鮮・内地読本のテキストの収集と、得られたテキストの本文入力を中心に研究を遂行した。 テキストの収集にあたり、国内及び海外(韓国)の関連資料所蔵の大学図書館等に赴き精力的に活動した。北海道教育大学・東書文庫などでは、研究目的の一つ「国定第1期国語読本以前の主要な20種」の教科書の収集を行うことができた。最大の成果は玉川大学教育博物館に新たに収蔵された植民地関係資料群の中から、従来みることのできなかった朝鮮読本の第4・5期にかかる教科書を入手できたことである。また韓国においては、朝鮮総督府発行以前の旧学部時代の国語教科書を入手でき、本計画で予想していた以上の成果を得ることができた。なお、研究代表者の中田は今年度2ヶ月間台湾で研究の機会を得たが、そこでは本研究に関わる台湾読本の編纂趣意書・教師指導書・指導細目などの諸資料を入手することができた。これらは今後国民性形成に関する研究を進める上で重要な参考資料となることが期待できる。 テキストの本文入力は研究協力者に委嘱し、相当数のテキストの入力が済んだ。また、一部であるが、それら入力済みテキストについて、KWIC形式の自立語総索引を作成することもできた。しかしこれら作業は当初考えていた以上の膨大な時間を要するために、十分な本文入力・データベース化が行えたとはいえない。来年度以降の課題となる。
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