平成16年度は、未収集の若干のテキストの収集と、遅れているデータベース作成を完成し、研究主題である、植民地・内地編纂国語教科書教材と国民性形成に関する分析・検討を行うことを目標とした。 I.未収集テキストの収集;駒ヶ根市立図書館等に赴き、明治期20年代の内地教科書を中心に収集に努めた(島崎友輔『初学読本』ほか)。 II.朝鮮・内地教科書の本文入力;底本確定後、未入力の朝鮮及び内地教科書の本文入力を、作業協力を得ながら進めた(高橋熊太郎『普通読本』ほか)。 III.教材内容分析;植民地・内地教科書のうち代表10教科書について、教材内容の分析を行った。 IV.自立語総索引は文部省編纂『尋常国語読本』(明治20年)について完成させた。 以上が本年度の研究概要である。分担者の一人が法人化に伴う事情で研究参加できなくなり、継続した研究に支障を来した。特に、教材の内容分析を通じた、近代化と国民性形成の関わりを議論する予定が不十分になってしまった。 研究成果報告書には、10教科書を対象とした教材内容の分析、台湾教科書の編纂過程と教科書掲載語彙の提示に関する課題、『尋常国語読本』の自立語資料を掲載した。
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