グラフィック分野:「タイミング」そのものを主要な表現要素とした動面像表現の演習モデルとして1、「言葉のリズムをモチーフとした動画像制作」2、「詩の朗読をモチーフとした動画像制作」を行った。いずれの授業でも、まず題材として言葉(文章)があり、それを演習者が(文脈や情景をより明解に表現する為に、或いは独自性を意識し、リズムやテンポ、間の取り方に配慮しながら)実際に読み上げたものを録音し、その音声データの発声タイミングを手掛かりに、映像表現に於けるタイミングのデザインを行った。演習者は映像内でのイベントを言葉として発声することで(会話・朗読表現で日常的に行っているように)タイミングや間、或いはテンポといった不可視な対象を自由に表現出来、その「音声による時間軸表現」を映像表現に於けるタイミングのデザインに応用することができる点に本研究の独自性があり、課題作品にもその成果が認められた。 テクトニック分野:動性を媒材にする制作演習題材として、「静止画像を契機とするレプリカ制作」が有効であることを1、「創作玩具の複製レプリカ」と、2、「動く環境彫刻の縮尺レプリカ」について、演習者の制作成果とリポートから取材した「題材の内容・方法の適否についての感想」を考察することによってその検証を試みた。その結果1、写真等、敢えて動性の情報が遮断されたり隠蔽された静止画像から演習者独自に対象の動性を予測として読取る方法をとることによって模作を指標としながらもむしろ探究的なプロセスや、結果として創作的な作品成果が期待できるという点、さらに2、制作演習後に実物と照合する機会を設け、構造・技術・等さまざまな角度から自作との相違を演習者自身が自発的に確認できるよう導くことによって学習効果が飛躍的に高まるという点、において従来の題材内容・方法には見られぬ特長が確誕され学会報告を行った.
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