研究概要 |
本研究の目的は,第二言語学習者の背景情報収集用クライアント・サーバシステムを構築し、それを通じて得られた情報を、第二言語教育に役立つように提供することであった。具体的には,(1)ウェブ上でアンケートや心理テストに回答するシステムの構築し、(2)そのシステムの運用を通じて得られた結果を含めて、学習者の背景情報や適性などの学習者情報を分析し,第二言語習得の成功と関連のあるいくつかの要因を拾い上げ,それら諸要因と第二言語習得との関連を検討し、(3)その結果得られた情報を公開して、第二言語教育者が授業開始前(あるいは開始後)に学習者人口に見られる傾向を迅速に把握し,学習者の適性や志向にあった授業方法を選択するための判断材料が得られるようにすることを目指した. 本研究の被験者として、日本語を第一言語とし、外国語環境下で英語を学んでいる日本人大学生の参加を得た。(1)の第二言語学習者の背景情報収集用クライアント・サーバシステムは、情動知能尺度を中心に開発を行った。このシステムを使用して得たデータと紙媒体の尺度を用いて得たデータ間において、実施モードの違いによる結果の相違がないかを検討した。(2)については、情動知能尺度、批判的思考能力などの値を、第二言語としての英語能力テストの結果と照らし合わせた。(3)に関しては、当初データベースの形で公開することを目指していたが、結果の情報公開の方法について問題が残っている。公開対象範囲、公開内容に利用価値を残しつつどのように普遍化するか、などについて今後の検討が必要である。
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