研究概要 |
ある教師が,美術教育実践を進めていくときの<意識-規範・文化>と実践する題材・単元との関係について,以下の研究課題1,2,3を設定し進めた.本年度は,約100名の参加者を集めた公開研究会を開催し,教師の<意識>を「収集」するとともに,成果の一部について,第31回国際美術教育学会(in SEA-The International Society for Education through Art)世界会議CD-Rom,奈良教育大学紀要誌上,美術科教育学会誌上などで発表した. 課題1(-昭和40年(1965)頃から現在までの美術教育実践における課題意識の変遷)については,昨年に引き続き,教科書・教師用指導書,民間教育運動・研究サークル研究誌などの資料収集と整理・構造化をはかった.特に,学習指導要領小学校図画工作科「造形遊び」分野に関しては,初期段階で,民間教育団体や研究サークルの意向をもとに,導入が進められ,先導的な教師と全科を担当する一般的な教師との間に溝があることを確認した. 課題2(-現役教師の<意識-規範・文化>と実施題材・単元調査)については,現職教員大学院生を中心として,面接調査,授業観察,実践活動撮影を行い,基礎資料を作成した.また,小学校「造形遊び」に関する公開研究会,小中学校「鑑賞教材」に関する研修会を通じて,様々な教師達の<意識>とその実践を収集した.現代の教師にとって,実践の上で,大きな位置を占める指導要領であるが,急激な改革を求められているせいもあり,教育現場に戸惑いや混乱ももたらしていることを確認した. 課題3(上記をもとにした現役教師支援プログラム)については,大学院授業や各種研修会で,試行し,修正・再構築中である.
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