研究概要 |
ある教師が,美術教育実践を進めていくときの<意識-規範・文化>と実践する題材・単元との関係について,以下の研究課題1〜3を設定し進めた。本年度は,昨年度までの基礎資料を基に,補足的な調査・研究を行い,研究成果にまとめる活動を行った。成果の一部について,国際美術教育学会(InSEA-The International Society for Education through Art)アジア地区会議北京大会,美術科教育学会千葉大会で,口頭発表/誌上発表をするとともに,3年間の成果を研究成果報告書にまとめた。 課題1(-昭和40年(196年)頃から現在までの美術教育実践における課題意識の変遷)については,昨年度までの資料整理・構造化をもとにまとめた。特に,学習指導要領小学校図画工作科「造形遊び」分野に関しては,平成時代以降、ポストモダン言説や教育改革の言説と結びつき,拡大がはかられたが,教育現場において,その扱いには格差があり,教育現場の実態との乖離や社会全体に対しての説明責任の面で,難しい局面を迎えている事を確認した。 課題2(-現役教師の<意識-規範・文化>と実施題材・単元調査)については,事例研究として,現役職員に対して,授業観察,実践活動撮影,面接調査を行い,まとめた。また,これ迄の資料を補完するために,アンケート調査を実施,分析した。教師教育初期段階(学生時代)の得意分野/不得意分野,職場や地域の実態といった身近かな人的環境,費用面,施設といった物的環境などが,実践に影響を及ぼしていることを確認した。 課題3(上記をもとにした現役教師支援プログラム)については,小学校「造形遊び」題材,小学校・中学校「鑑賞題材/教材」を中心に据え,学部・大学院授業各種研修会で,参加型のプログラムを試行した。そして,それをふまえ,素材,教育現場に普及したメディア環境を活かした全体プログラムを構築し提案した。
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